The Traditional Fly Fishing NEXT　13


マラブーフライ
非常に便利なマテリアルである。
チェリーサーモンフライに使うのに，ちょっと戸惑ったマテリアルでもある。
チェリーサーモンは日本を代表するサーモンだから，サーモンフライ、チェリーサーモンフライで釣りたいという望みが強かったからである。
サーモンフライ風に、ウェットフライ風に巻く事で、気持ちの問題をクリアした。
実際に使ってみれば，恐ろしいほどの戦闘能力に驚くばかりであった。
マテリアルの都合上、大きなフライに使うのは，難しくはなかったが，ロォーウォーターの釣り、フックサイズの小さなフライに使うには，少し苦労した。
結局、フォルスで使う事が多くなった。
テールをアピールしたフライ、ボディハックルやスローとハックル、ウィングなどフォルスで使う事により大きな問題をクリアした。
できれば，ハックリングしたいという望みから、小さな上質のマラブーが宝物になった。
あとは，チェリーサーモンが望むフライになるかどうかだけだ。
極端な話、ウーリーバガーのようなフライが、大きな戦闘能力を持っている。
あまのじゃくな私は、違う使い方をする事にした。
スペイフライ風、ディーフライ風、スクィッドフライ風といろいろなシルエット、誘いの動きを強調する部分を試行錯誤した。
いくつかの必殺パターンも生まれたが，ほとんどがチンドン屋みたいなフライばかりになってしまった。
当店オリジナルのストライプドマラブーやトリコロールマラブーを使う事によって、オリジナリティーが増したフライが増えていったが，更なるチンドン屋フライも多く作ってしまった。
百の失敗は一の成功のもと、この言葉を信じて，今もロォーウォーターフライを考え続けている。
マラブーフライはマラブーをつけすぎてはいけない。
少ない量のマラブーで、動きのいいフライを作る。アピールドの高いフライを作る。
この２点ばかりを考え続けていた。
しかしこの考え方は、ある流れには効果的だが、まるで、効果がない流れや時期・時合もある。
動き、アピールばかりでは釣れるフライは成り立たない。
魅力たっぷりにうごめいているマラブーフライに見向きもしなかったチェリーサーモンが、フェザントテール、キラーバグのようなシルエットが変わらない、固いフライにフライに興味を示し、バッサリとくわえこんだ事が，当時の私はショックを受けた。
ロォーウォーターの釣りは難しい、まぐれなど期待できない、
フライタイイング、そのフライをどのようなポイントで使うか，どのように攻めるか、一つのフライが釣り人に求めることはかなり多い。
それを釣り人が答えられた時，初めて魚も答えてくれるのである。
釣り上げた一匹はこうして生まれるのである。
だから，喜びも大きいし，更なる挑戦を繰り返すのではないか・・・・。





2013/8/28

[9回]